発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016402982
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69歳女性。10年前より関節リウマチに対するステロイド治療中であった。今回、多量の下血を主訴に初め内科へ入院となった。精査の結果、小腸潰瘍からの出血と診断され、保存的加療が行われたが、10日後に突然の腹痛が出現、腹部CTにて消化管穿孔の疑い、外科へ紹介となった。血液検査では炎症反応の上昇がみられ、腹部造影CTでは右側小腸の全周性壁肥厚とfree airが認められた。穿孔性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を行ったところ、手術所見では腹腔内には多量の膿性腹水がみられたほか、Bauhin弁から約35cmの回腸に2cm大のパンチアウト型穿孔が確認された。以後、穿孔部を含む小腸部分切除術を行った結果、病理組織学的にサイトメガロウイルス(CMV)腸炎の穿孔と診断され、その後の血液検査でCMV IgG(+)、CMV IgM(-)、血中CMV抗原(+)が確認された。尚、術後8日目よりganciclovirの投与を開始し、患者は術後1ヵ月で軽快退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016