発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010180566
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78歳女性。患者は感冒様症状と血痰の出現後、発熱と右側腹部痛で受診となった。CTでは両肺にびまん性肺出血を思わせる多発性のground grass opacityがみられ、腹部造影CTでは肝右葉に15cm大の血腫を疑わせるspace occupied lesionが認められた。また、検査では白血球数増加、肝胆道系酵素の高度上昇、炎症反応、血小板数の低下がみられた。緊急入院後、抗DIC治療が行われ、血小板数は増加したものの、発熱と炎症反応は抗菌薬に反応せず、血痰も持続した。だが、喀痰培養は陰性、喀痰細胞診はclass Iであった。一方、腹部血管造影、右気管支動脈造影では造影剤の漏出がみられ、全身性血管炎症候群が疑われた。そこで、ステロイドパルス療法を行ったところ、解熱とCRP低下、血痰の減量がみられたが、再び血痰増量後に意識障害が出現、次第に全身状態が悪化して、患者は呼吸不全にて死亡となった。尚、剖検所見により本症例は肝原発血管肉腫および肺転移、重症日和見感染症と診断された。
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