発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010180565
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
25歳女性。患者は鶏肉摂取2日後より発熱、下痢が出現し、近医で加療・解熱後、全身に皮疹が出現したため、著者ら施設へ紹介受診となった。薬疹疑いで内服薬中止とし、皮疹の改善傾向が認められたが尿閉を来し、更に両下肢筋力低下の出現で自立歩行困難となった。入院時、所見では下肢優位の筋力低下、Th4以下から末梢側にかけての表在覚・深部覚低下、また両下肢の深部腱反射低下、排尿困難・便秘がみられ、検査では血清・髄液麻疹抗体はIgG、IgMともに陽性、髄液の初圧、蛋白の上昇と細胞増多が認められた。一方、頸胸部MRIではT1強調で脊髄の腫脹、T2強調でC2以下の脊髄灰白質に高信号域が確認された。以上より、本症例は急性横断性脊髄炎の診断で免疫グロブリン大量療法、ステロイドパルスが行われた。その結果、徐々に下肢筋力、感覚障害は改善し、リハビリにて自立歩行可能となり、あわせて膀胱直腸障害も改善した。尚、現在は後遺症、症状の再燃も認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010