発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021296
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
60歳男。半年前より食事量の低下と倦怠感を自覚し近医にて糖尿病性ケトアシドーシスと診断され、入院した。入院中左上肺野に腫瘤陰影を指摘され当院紹介入院となった。末梢血に正球性正色素性貧血を認めたが腎機能は正常で、鉄利用障害を呈した。腫瘍マーカーは正常範囲内であった。X線で左上~中肺野に10×10cmの辺縁が比較的明瞭な類円形の腫瘤を、CTで左肺上葉に肋骨まで進展する98×95mmの腫瘤を認めた。気管支肺生検より核の大小不同、不整を示す異形細胞の充実性増殖を認め、肺大細胞癌、T4N0M0、StageIIIbと診断してcisplatinとvinorelbineの化学療法および原発巣中心の放射線療法で肺病変は29%縮小した。加療開始46日目に上部消化管内視鏡で胃体部大彎側に潰瘍底を有する隆起性病変を認め、生検により肺大細胞癌の胃転移と診断した。化学療法6コース施行後に腫瘍の小彎側までの進展を認め、腫瘍の増大と潰瘍底からの出血を認めた。内視鏡的な止血は困難となり胃全摘術を施行し、腸瘻を空腸-空腸吻合により腹壁に固定した。合併症なく食事摂取も良好となり術後40日目に自宅療養となったが術後61日目に肝転移、全身倦怠感の増悪で再入院し、その後緩和ケア目的転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009