発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021295
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
35歳女。約2週間のケニア共和国滞在の帰国直後より下痢・血便を認めた。2日間で改善したがその後発熱して改善しないため第6病日に受診した。白血球の左方移動、血小板の著明な減少、FDP高値と更にLDH、間接ビリルビン、CRPの上昇を認めた。熱帯熱マラリアを疑い、血液塗抹標本の鏡検から赤血球原虫寄生率30.3%の熱帯熱マラリア原虫を認めた。同日ファンシダール内服およびメフロキン投与を行うが無効で、脳症の出現も認めた。入院3日目より入手できたアーテスネート坐剤およびキニーネ注射薬を併用投与し、2日後には赤血球原虫寄生率は10.1%に低下し脳症も改善した。入院5日目よりアーテスネート坐剤のみの投与で症状も軽快し、入院10日目頃より認めた高度肝障害および腎障害は全身管理にて改善した。入院43日目のDAPI染色の再検でマラリア原虫を確認してアーテスネート坐剤を3日間追加投与し、入院58日目に後遺症なく退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009