発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021294
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59歳男。16年前に糖尿病を指摘されたが無治療で経過し5年前より口渇、多飲、多尿、視力低下を自覚したが放置していた。右足背腫脹の悪化で当科紹介入院となった。右足背から足趾は悪臭、膿汁排泄を伴って発赤腫脹し、第III、IV趾は暗紫色調に変化して両下肢遠位の感覚鈍麻、振動覚低下、アキレス腱反射消失を認めた。蛋白3+、白血球増多、CRP高値、貧血、腎不全を認め、膿培養よりStreptococcus agalactiae 3+、Staphylococcus aureus 1+を検出した。増殖糖尿病網膜症、腎症4期、進行性の多発神経障害・自律神経障害の合併症を認めた。インスリン頻回注射療法で血糖コントロールを開始し、PGE1製剤投与、低アルブミン血症にアルブミン製剤投与、貧血に輸血を行った。形成外科で多量の膿汁貯留に皮膚切開・壊死組織にデブリードマン・創洗浄を施行し、piperacillin、clindamycin投与とスルファジアジン銀外用を行い感染徴候は徐々に改善した。第35病日に黒色壊疽に陥った第IV趾を切断し第103病日に第III趾腐骨除去を行った。インスリン量は炎症の改善に伴い減少し、26~28単位/日とコントロール良好で、増殖糖尿病網膜症に硝子体手術を計3回行い第142病日に軽快退院した。
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