発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009125159
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83歳女。亡くなった親類がみえる、一緒にいた人が席をはずすと誰がいたかわからなくなる、という症状が間欠的にほぼ毎日、特に夕方出現するため受診した。mini-mental state examination(MMSE)は21点で日付、計算あるいは逆唱の誤答が目立ち、血糖コントロールが不良で夕方の血糖が特に高値を示した。頭部CTで右尾状核頭部から被殻の一部に低吸収域を認め、MRIのT1およびT2強調像では不均一に高信号を呈し、99mTc-ECD SPECTでは血流低下を認めた。検査終了2日後に退院したが幻視の出現頻度は改善せず、食事・運動療法に加えてpioglitazoneの追加で血糖は改善し出現頻度は徐々に減少し、MMSEは徐々に上昇し、HbA1cも改善した。6ヵ月後の病変はT1強調像では高信号領域は淡く縮小し、T2強調像では境界明瞭で均一に高信号を呈し、99mTc-ECD SPECTでは変化は認めなかった。幻視は消失し、一緒にいた人が席をはずすと誰がいたかわからなくなる症状は週に1回程度となった。症状は尾状核梗塞によるのもと判断でき症状の回復は梗塞の自然回復と血糖のコントロール改善に関連があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009