発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009125157
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56歳女。25歳時に第一子を死産した際に大量出血し、月経が消失して腋毛、恥毛は脱落し、その後ホルモン療法で出産したが乳汁の分泌はなかった。その後、倦怠、傾眠傾向を認めたが日常生活に支障はなかった。頭痛、発熱が出現し、意識混濁状態となり低血糖で緊急搬送された。低ナトリウム血症、炎症所見を認め、ブドウ糖入り補液にもかかわらず血糖値は16mg/dlで心肺停止状態となった。副腎クリーゼを疑いhydrocortisoneの静注と蘇生術で意識レベルの改善を認めたが、下垂体系ホルモン基礎値は低く、下垂体MRIでempty sellaを認めた。TRH負荷でPRLは低反応、TSHは遅延反応を、CRH負荷ではACTH、cortisolは低反応を示し、アルギニン負荷ではGHは反応不良で、下垂体前葉機能低下症と診断した。Sheehan症候群でempty sellaになりACTH分泌不全により副腎クリーゼが起きたと判断し、levothyroxine 50μg/日、hydrocortisone 15mg/日、somatropin 1.5mg/週の補充療法を開始したところ、症状が改善し日常生活に支障は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009