発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008258155
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62歳女。急激に両下肢の麻痺と痛みが出現した。胸腹部造影CTで左房内に径2cmの造影剤欠損像と、腎動脈より末梢の腹部大動脈に造影剤欠損像を認め、両腸骨動脈は造影されなかった。心臓超音波では左房内の中隔に付着した腫瘤を認め、壁運動はたこつぼ様心筋様であった。大量輸液とheparin 5000単位、alprostadil 10μgを投与すると共に、動脈塞栓に対する緊急手術を施行した。両側大腿動脈から逆行性と順行性にFogaty catheterを挿入し、塞栓物質を除去した。術後下肢の麻痺と疼痛は改善し、塞栓物質の病理所見はmyxomaであった。全身検索の頭部MRIでは多発性無症候性脳梗塞と無症候性蝶形骨髄膜腫を示唆する所見を認めたが、経過観察とした。全身状態改善を待って第14病日に開胸心臓腫瘍摘出術を施行し、病理結果はmyxomaであった。術後カテーテル感染による発熱を認めたが、抗生物質投与により改善し、第28病日に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008