発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008258154
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34歳女。高校生の頃から悪心を伴う右側頭部の拍動性の痛みがあり、その後頭痛の頻度が増加し市販の鎮痛薬を服用し改善していた。2年前の妊娠を契機に頭痛は消失したが、第2子出産後に症状再燃し、鎮痛薬服用(15日/月程度)で改善していた。しかしその後頭痛がほぼ連日出現するようになり当科受診した。血液生化学的検査で異常はなく、頭部画像検査で器質的病変を認めなかった。前兆のない片頭痛をベースとし、育児疲れによる心理的ストレスでの頭痛頻度増加に伴う服薬増で薬物乱用頭痛に至ったと考えた。鎮痛薬服用は止めるよう指導し、片頭痛の予防薬としてlomerizine、amitriptylineを、頓挫薬としてsumatriptanを処方した。しかし頭痛の回数に変化はなく、rizatriptanへの変更も無効で、鎮痛薬服用を余儀なくされていた。受診1ヵ月後より右上歯痛が出現し、歯科で右上智歯の齲蝕を指摘され抜歯したところ、その翌日より頭痛は完全に消失した。右上智歯は三叉神経右第二枝支配であり、関連痛として右側頭部に頭痛が生じたと推測した。
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