発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007177275
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は44歳男性で、発熱、頻脈、多汗、嘔吐、下痢、精神不安定が出現した。既往にはバセドウ病があり、加療→自己中断→増悪を繰り返していた。頸動脈怒張、前頸部~足背に軽度浮腫を認め、X線写真、心エコー検査は心胸郭比65.8%で、左心、右心系とも心室、心房拡大が著明であった。検査所見は、プロトロンビン時間%:16.6%、白血球数:14300/μl、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ:1162IU/L、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ:2484IU/L、C反応性タンパク:4.9mg/dlであった。両心不全、肝不全を併発した甲状腺クリーゼの診断で、チアマゾール・ヨウ化カリウム・利尿薬・β遮断薬・ヒドロコルチゾンの投与、血漿交換を行った。その結果、肝不全から離脱し、クリーゼ症状、心不全共に改善した。重篤な心不全を伴った甲状腺クリーゼは重篤な肝不全につながる可能性があり、早期からの循環動態の安定、及び血漿交換を始めとする集学的治療が必要と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007