発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175497
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入院加療を行った甲状腺クリーゼ8例をFT4正常化までに要した日数で、30日未満の5例(男2例、女3例、平均51.0歳;A群)と30日以上の3例(男2例、女1例、平均35.7歳;B群)に分け比較した。誘因はA群が様々で、B群はいずれも抗甲状腺薬自己中断であった。全身症候の発熱・頻脈は全例認め、バセドウ病関連兆候、臓器兆候の合併率はB群で高かった。日本甲状腺学会診断基準ではA群が中枢神経症状以外の症状項目四つまたは中枢神経症状+他の症状項目1~3つ、B群ではいずれも中枢神経症状+他の症状項目四つを満たした。治療はthiamazoleがA群4例、B群2例、propylthiouracilが各群1例で、ヨウ化カリウム、β遮断薬は全例、hydrocortisoneはA群4例、B群全例に投与した。人工呼吸管理はA群1例、B群2例、気管切開、血漿交換、CHDF導入はB群の各2例に行った。全例救命でき、後遺症はA群1例にけいれん重積発作に伴う低酸素脳症で意識障害が認められた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012