発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010296340
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35歳女。患者は2005年に近医でバセドウ病と診断され、内服治療が行われていたが、コンプライアンスは不良であった。翌2006年6月には両側内頸動脈終末部を含む脳底動脈狭窄が指摘され、通院不定期、甲状腺薬内服も自己中断していたが、同年9月に路上で倒れ、救急搬送された。所見では著明な甲状腺機能亢進状態が認められ、翌日には急激な肝不全、鬱血性心不全、呼吸不全に至り、人工呼吸管理の必要から、著者らの施設へ紹介となった。MRIでは左右大脳半球の分水嶺領域に広範に高信号がみられ、急性期脳梗塞が考えられた。更にMRAでは両前大脳動脈や右中大脳動脈の描出不良、両側内頸動脈終末部に狭窄がみられ、脳底槽にはもやもや血管が認められた。加えて発熱、譫妄状態、頻脈をはじめ重症心不全、一過性心房細動も確認でき、甲状腺クリーゼと診断された。以後、治療として全身冷却、ヨウ化カリウム、PTU等投与で対処し、気管切開による呼吸状態、全身状態の改善の後、甲状腺亜全摘術が施行された。その結果、患者は経過良好で、リハビリ目的に転院となった。
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