発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005108597
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急性心筋炎においては細胞性免疫異常が病態の主座を占めるが,拡張型心筋症においてはむしろ自己抗体産生など液性免疫異常が主体となる.これらの自己抗体の多くは細胞障害の随伴現象にすぎないとの見方もあるが,最近少なくともいくつかの抗体に生物学的活性があることがわかってきた.β1アドレナリン受容体に対する自己抗体は持続的アゴニスト様作用を有し,拡張障害を主徴とする心肥大を惹起するのみならず,致死的心室性不整脈の発生素地となることが明らかにされた.ムスカリンM2受容体に対する自己抗体やわれわれが新たに見出したNa-K-ATPaseに対する自己抗体もさまざまな作用を有することも明らかとなった.心筋炎罹患後のこのような自己抗体の存在は拡張型心筋症への移行に重要な役割を担っていると推察される
©Nankodo Co., Ltd., 2005