心筋症 診断の進歩と治療のブレークスルー2009
心筋症の原因、病態生理はここまでわかった 免疫異常と心筋症
吉川 勉
1
1慶応義塾大学 医学部循環器内科
キーワード:
Sodium-Potassium-Exchanging ATPase
,
自己抗体
,
自己免疫疾患
,
心筋疾患
,
Adrenergic Beta-1 Receptors
,
Troponin I
,
Muscarinic Receptor M2
,
病態生理
Keyword:
Sodium-Potassium-Exchanging ATPase
,
Autoantibodies
,
Autoimmune Diseases
,
Cardiomyopathies
,
Receptors, Adrenergic, beta-1
,
Troponin I
,
Receptor, Muscarinic M2
pp.433-436
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009118820
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心筋症の原因として、ウイルス感染、遺伝子異常とともに自己免疫異常をあげることができる。拡張型心筋症患者の血清には、さまざまな抗心筋自己抗体が検出される。βアドレナリン受容体に対する自己抗体はアゴニスト様作用を有し、遷延性心筋障害や致死的心室性不整脈の発生素地となることが明らかとなった。ムスカリンM2受容体に対する抗体は、心房細動と関連する。Na-K-ATPaseに対する自己抗体は、致死的心室性不整脈による突然死と強く関連する。トロポニンIに対する自己抗体は、L型カルシウム電流を増加させ、心筋障害の持続と関連する。以上の知見を踏まえ、免疫吸着による自己抗体除去の臨床開発を推進中である。
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