発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014106938
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症例1(73歳男)。33年来の糖尿病であった。今回、高血圧症に対しcandesartan(4mg)の内服で安定していたが、頭痛が出現したため受診となった。所見では脂質異常症とTSHの高値を認めたほか、活性レニン濃度の低下がみられず、血漿アルドステロンもやや高値に留まっていた。対処としてcandesartanの増量が行われたが、4週後も血圧は高値であったため、服薬歴の聴収を行なったところ、患者は外来受診3週間前にこむら返りに対し他科から芍薬甘草湯が処方されていたことが判明した。以上より、本症例は薬剤誘発性高血圧症と診断し、芍薬甘草湯を中止することで8週間目以降は血圧は安定した。症例2(61歳女)。12年来の2型糖尿病であった。Candesartanの内服で血圧は安定していたが、外来受診時には上昇し、1週間後の自宅血圧でも171/80mmHgであった。一方活性レニン濃度の低下は認めず、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与にて血漿アルドステロンはある程度抑制されたが、依然血圧は高値であった。そこで、服薬歴の聴収を行なったところ、外来受診1週間前に他院にて芍薬甘草湯が処方されたことが判明した。以上より、本症例は薬剤誘発性高血圧症と診断され、芍薬甘草湯を中止することで3週後には血圧は安定した。
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