発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010080248
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52歳男。2年前より持続する右膝関節水腫に対し関節穿刺を受けていたが、再発を繰り返していた。初診時、膝蓋上嚢より大腿遠位に著明な腫脹を認め、300mlの黄色透明な関節液が吸引された。膝関節の疼痛、発赤、可動域制限などは認めなかった。X線では軽度の変形性膝関節症(OA)を認めた。MRIでは膝蓋上嚢に著明な液体貯留所見を認め、膝蓋上嚢大腿骨前面にT1・T2強調像で高輝度を呈する絨毛様の滑膜様組織の増生を認めた。以上より滑膜性疾患を疑い、滑膜切除術を施行した。膝蓋上嚢全体に絨毛ポリープ状の滑膜増生を認め、これら滑膜を切除したところ、増生部に一致して大腿骨の膝蓋関節面に関節軟骨の欠損を認めた。病理組織所見は肉眼的には絨毛ポリープ状、黄白色、弾性硬の腫瘍で、組織学的に樹枝状脂肪腫と診断された。術後3年経過し、軽度の関節水腫は持続しているが疼痛などの症状はなく、OAの進行もない。
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