経験と考察
腰椎椎間板ヘルニアの自然消失過程における下肢痛のメカニズム
東村 隆
1
,
野原 裕
,
飯田 尚裕
,
大山 安正
,
片柳 順也
,
峯 研
,
大関 覚
1獨協医科大学附属越谷病院 整形外科
キーワード:
下肢
,
モノクローナル抗体
,
MRI
,
自然寛解
,
椎間板ヘルニア
,
疼痛
,
免疫組織化学
,
腰椎
,
Interleukin 1 Receptors
,
治療成績
,
椎間板切除
,
Gadopentetic Acid
,
Phospholipases A2
,
Interleukin 6 Receptor Alpha Subunit
,
治療までの期間
,
下肢伸展挙上テスト
,
徒手筋力テスト
Keyword:
Antibodies, Monoclonal
,
Intervertebral Disc Displacement
,
Immunohistochemistry
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Lumbar Vertebrae
,
Pain
,
Remission, Spontaneous
,
Treatment Outcome
,
Diskectomy
,
Receptors, Interleukin-1
,
Gadolinium DTPA
,
Lower Extremity
,
Phospholipases A2
,
Interleukin-6 Receptor alpha Subunit
,
Time-to-Treatment
pp.1339-1344
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016086563
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術前造影MRI検査を行い、手術を施行した腰椎椎間板ヘルニア68例中、手術摘出標本の凍結切片を作製し、HE染色による組織学的検索で炎症細胞が認められた16例を対象に、細胞数を測定した結果より、腰椎椎間板ヘルニアの自然消失の過程における疼痛のメカニズムについて検討した。ガドリニウム・ジエチレントリアミン五酢酸(Gd-DTPA)を用いた術前の造影MRIでは全例ヘルニア腫瘤の周囲に造影効果がみられた。手術所見によるヘルニアのタイプは経靱帯型(transligamentous)12例、分離型(sequestration)4例で、全例において硬膜外へ穿破していた。硬膜外に穿破した髄核のみがマクロファージとT細胞による異物反応で吸収されることを明らかにした。研究では同一の手術摘出標本の免疫組織学的検索により疼痛に関連するCD120a、CD126、PLA2の細胞数を測定した結果より、急性期で症状が高度であった12例は、髄核成分に富んだもので、疼痛に関連するCD120a、CD126、PLA2の染色状態はいずれもグレード2、3と高度に染色されていた。吸収過程おける下肢痛の発症および回復のメカニズムには炎症性サイトカイン、PLA2などが関与し、物理的圧迫のみならず、何らかの化学的要因さらには精神的要素が関与していることが証明された。
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