臨床室
術前経頭蓋直達牽引が有効と考えられた特発性頚椎後弯症の2例
小林 賢司
1
,
関 庄二
,
川口 善治
,
峯 隼人
,
牧野 紘士
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
運動障害
,
頸椎
,
牽引(整形外科)
,
整形外科固定具
,
脊柱後彎症
,
脊椎固定術
,
術前期
Keyword:
Cervical Vertebrae
,
Kyphosis
,
Orthopedic Fixation Devices
,
Movement Disorders
,
Radiography
,
Spinal Fusion
,
Traction
,
Preoperative Period
pp.961-964
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015339899
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症例1は22歳男で、21歳時より次第に頸椎変形をきたし、嚥下困難を認めた。頸椎単純X線側面像でC2~C7角は自然位104°、後屈時95°であった。入院後にハローリングを装着しベッド上に座位で牽引力4.5kg、牽引時間1時間の頭蓋直達牽引を1日2回開始した。牽引力を5.5kgに、牽引回数を1日3回へ増やした。2週間の牽引後C2~C6の前方解離術と後方矯正固定術を施行し、術後C2~C7角は5°に矯正された。症例2は15歳女で、12歳頃より頭頸部の前傾姿勢が徐々に増強し、手指巧緻運動障害および脱力感が出現した。頸椎単純X線側面像では自然位・後屈時ともC2~C7後彎角は90°であった。症例1と同様に牽引力2kg・牽引時間30分を1日2回開始し、5.5kgまで増量するとC2~C7後彎角は60°に改善し、手指の巧緻運動障害も改善した。牽引21日目に頸椎前方解離固定術と後方矯正固定術を施行し、術後C2~C7後彎角は3°と著明に改善した。
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