臨床室
軽微な外傷を契機に発症した前脛骨筋腱皮下断裂の1例
森 明日香
1
,
三宅 洋之
,
横田 裕
,
北村 暁子
,
澤田 英良
,
松村 成毅
1一宮市立市民病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
ギプス包帯
,
脛骨筋
,
腱損傷
,
MRI
,
鑑別診断
,
超音波診断
,
足関節
,
縫合法
Keyword:
Ankle Joint
,
Casts, Surgical
,
Diagnosis, Differential
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Suture Techniques
,
Ultrasonography
,
Tendon Injuries
,
Muscle, Skeletal
pp.651-654
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335341
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65歳男性。降車し右足を着いた際、右足関節前方で轢音を認めた。以降、右足関節痛が出現し、足関節の背屈が困難となったため救急外来受診となった。初診時、足関節の腫脹は軽度であったが、足関節前方に圧痛ほか、足関節高位で前脛骨筋レリーフの消失を認め、足関節前方皮下には近位端と思われる隆起が触知された。超音波断層像では足関節高位で前脛骨筋腱の連続性が絶たれており、断裂部は空虚な低エコー像として描出された。また、MRIでも足関節高位で前脛骨筋腱の連続性は絶たれており、T2強調像で断裂部周囲に高信号域を認め、腱の変性が示唆された。以上より、本症例は前脛骨筋腱皮下断裂と診断され、受傷翌日に腱縫合術が施行された。術中所見では断端腱周囲に軽度滑膜増生と断端腱の肥厚が認められた。そこで、断端周囲の血腫を除去し、断端を新鮮化して4-0ナイロン糸を用い柘植法により腱縫合術を施行した。以後、ギプス固定を行い、4週で免荷後、ヒール付きギプス固定として荷重を許可し、術後6週でギプス固定を解除して関節可動域訓練を開始、術後7週で全荷重とした。その結果、術後6ヵ月時点の足関節の機能評価はJSSFスケールにより最終観察時疼痛40/40点、機能47/50点であり、アライメントは10/10点の97点であった。
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