発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011226903
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は54歳女性で、大量飲酒後に睡眠し、自宅階段2階から転落し救急搬送された。意識はGlasgowコーマスケール(GCS)でE4、V4、M6と軽度の会話困難があった。前頭部には皮下出血がみられた。頸椎、下部胸椎の棘突起に圧痛があり、四肢では両手C6領域に軽度の知覚鈍麻がみられたが、筋力や反射など神経学的所見に異常はなかった。頭部CTで前頭骨骨折、脳挫傷、気脳症、硬膜外血腫がみられた。単純X線・CTによる画像検索でC6、C7椎体骨折、C7、Th1棘突起骨折、Th12圧迫骨折がみられたが、頸椎MRIでは硬膜管圧排像はみられなかった。頭部外傷に対し集中治療室で保存治療を行い、頸椎骨折、Th12圧迫骨折を保存的に治療した。意識清明となり、右足関節内の疼痛を訴え、右足関節内果部に圧痛がみられ右関節の単純X線を撮影した。受傷後3週で、歩行時痛なく退院したが、受傷後10週に右アキレス腱部陥凹、爪先立ち不能、Simmonds-Thompsonテスト陽性の所見がみられ、陳旧性アキレス腱断裂と診断し、アキレス腱再建術を施行した。術後3週で部分荷重を開始し、6週で装具下に全荷重とし、12週で装具を除去、経過良好で術後4ヵ月に爪先立ち可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011