発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010155711
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57歳女。歩行中に転倒し、右肘関節伸展位で手をついて受傷した。右肘関節後面、橈骨頭部、上腕骨内上顆部に圧痛および腫脹を認め、上腕三頭筋付着部に陥凹を触知した。肘関節可動域(ROM)は自動伸展が制限されていた。単純X線側面像にて肘頭2cm近位に小骨片(flake sign)を認め、肘頭部には母床と思われる骨欠損がみられた。また、橈骨頭骨折、内側側副靱帯遠位付着部剥離骨折を認めた。CTでも同様の所見を認め、橈骨頭骨折と肘内側側副靱帯損傷を伴った上腕三頭筋腱皮下断裂と診断し手術を施行した。骨片を肘頭に整復し、上腕三頭筋の腱成分を骨片と共に軟鋼線で肘頭に締結後、吸収糸で逢着した。橈骨頭骨折に対して2.0mmのTプレートで固定後、肘の外反不安定性を認めなかったため、内側側副靱帯遠位付着部剥離骨折は保存的に治療した。術後6週で骨癒合が得られ、術後5ヵ月の現在、若干のROM制限は認めるものの、肘伸展筋力の低下なく日常生活に大きな支障はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010