臨床室
外閉鎖筋滑液包から発生した滑膜骨軟骨腫症の1例
堀 正和
1
,
安田 剛敏
,
鈴木 賀代
,
渡邉 健太
,
松下 功
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
Lidocaine
,
X線診断
,
滑液包
,
細胞診
,
MRI
,
鑑別診断
,
造影剤
,
大腿筋
,
X線CT
,
滑膜軟骨腫症
Keyword:
Bursa, Synovial
,
Cytodiagnosis
,
Diagnosis, Differential
,
Contrast Media
,
Lidocaine
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Chondromatosis, Synovial
pp.635-638
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335337
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16歳女子。1年前から誘因なく左股関節痛が出現、週に数回疼痛が出現したため前医を受診、左股関節部に骨性病変を指摘され、精査目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、左股関節部には持続的な運動後の疼痛がみられたほか、Patrickテストは陽性、Scarpa三角部には圧痛を認め、関節の外旋では軽度の疼痛が誘発された。一方、左股関節の単純X線像では小転子内側に18×14mmの骨化病変がみられ、CTにてこの骨化病変は小転子の内側前方に位置するも、股関節内には骨化や石灰化は認められなかった。また、MRIではT2強調前額断像にて坐骨棘と小転子高位で縫工筋と大腿動静脈の間に高信号で内部に低信号強度を示す腫瘤が確認された。更に水平断で腫瘤は大腿方形筋と外閉鎖筋の間に位置する嚢胞性病変で、その内部には低信号強度を示す病変が確認、造影検査では股関節内側部に広がる嚢胞が描出された。そこで、嚢胞内にリドカイン5mlの注入したところ、疼痛の改善が得られた。以後、吸引細胞診で悪性所見はないことを確認し、股関節後方アプローチに準じ骨化病変へ到達させ、滑液胞を一塊として切除した。その結果、病理所見から本症例は滑膜骨軟骨腫と診断された。尚、患者は術後3日で退院となり、目下、手術から3ヵ月経過で疼痛は軽減、腫瘤の再発も認められていない。
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