臨床室
血管損傷を合併した膝関節周囲骨折の1例
亀田 拓哉
1
,
川上 亮一
,
江尻 荘一
,
紺野 愼一
1福島県立医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
骨折-開放
,
再灌流
,
膝窩動脈
,
膝関節
,
術後合併症
,
大静脈フィルター
,
大腿骨骨折
,
大腿静脈
,
Doppler超音波診断
,
静脈血栓症
,
血管移植
,
血管系外傷
,
足背動脈
Keyword:
Femoral Fractures
,
Femoral Vein
,
Fractures, Open
,
Knee Joint
,
Radiography
,
Popliteal Artery
,
Postoperative Complications
,
Reperfusion
,
Vena Cava Filters
,
Ultrasonography, Doppler
,
Venous Thrombosis
,
Vascular System Injuries
,
Vascular Grafting
pp.639-642
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335338
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58歳男性。作業中にフォークリフトの歯が膝窩に刺さり受傷、1時間後に救急般送された。来院時、左膝窩部には5cmの開放創みられ、足背動脈は触知不能であった。また、ドプラ検査では足背の血流は確認できず、完全阻血と判断された。一方、単純X線像では大腿骨遠位骨折が認められ、Gustilo分類でtype IIICと診断、受傷2時間後に初回手術の施行となった。手術時、明らかなハードサイン(疼痛・蒼白・知覚異常・運動麻痺・脈拍消失)が認められないことから直ちに血行再建術が行われた。その結果、術後は膝窩静脈の膨隆が確認され、このことから膝窩静脈には損傷が及んでいないと判断され、受傷から6時間経過で再灌流が得られた。しかし、血行再建後の4日目に血管造影CTを行なったところ、左大腿静脈に血栓が認められた。そこで、下大静脈フィルター留置後、受傷7日目に最小侵襲プレート固定法により骨接合術を行い、翌日には下大静脈フィルターの抜去と抗凝固薬の静脈内投与が行われた。以後、下肢の腫脹や呼吸不全などの深部静脈血栓症の徴候なく経過し、静脈血栓は術後6ヵ月で消失、受傷後8ヵ月の単純X線像で骨癒合と判断され、膝関節機能も日常生活に支障ない程度まで回復し、原職に復帰した。
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