臨床室
肩関節に発生した巨大遊離体を有する二次性滑膜骨軟骨腫症の1例
平畑 昌宏
1
,
伊藤 正明
,
松下 隆
1さいたま記念病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
肩関節
,
関節可動域
,
関節鏡法
,
変形性関節症
,
関節鼠
,
滑膜軟骨腫症
,
滑膜切除
Keyword:
Arthroscopy
,
Joint Loose Bodies
,
Osteoarthritis
,
Radiography
,
Shoulder Joint
,
Chondromatosis, Synovial
,
Range of Motion, Articular
pp.437-440
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265141
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63歳女性。5年前より右肩関節の違和感があった。今回、痛みと関節可動域(ROM)制限を来し近医を受診、単純X線像で遊離体を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。受診時、右肩関節には強い夜間痛と運動時痛があり、内・外旋では関節圧轢音が認められた。また、ROMは屈曲120°、外転110°、外旋(1st)10°、内旋(1st) S1と制限がみられ、JOAスコアは67点であった。以上、これらの所見を踏まえて、更に単純X線像を行なったところ、関節裂隙の狭小化ほか、変形性関節症の所見が認められ、腋窩や上腕前外側には巨大な遊離体が確認された。一方、単純MRIでは関節腔に液体貯留を認め、関節内腋窩陥凹に29×13mmの巨大な遊離体が認められ、T1・T2強調像とも低輝度であった。以後、全身麻酔で関節鏡視下に遊離体を摘出した結果、病理組織所見は関節軟骨の断片を芯として成長した遊離体であり、二次性滑膜骨軟骨腫症であった。尚、術後は右肩関節痛は消失して、ROMは屈曲180°、外転180°、外旋(1st)50°、内旋(1st)Th 6と著明に改善していた。目下、術後3年経過現在、症状の再発は認めず、JOAスコアは100点である。
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