発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005067154
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83歳男.8日前から右手関節と右肘関節に疼痛が出現,3日前からは右鼠径部に疼痛を伴う腫瘤が出現して歩行困難となり来院した.初診時,38.2℃の発熱と血液検査で炎症所見を認め,単純X線像では股関節周囲と右手関節・右肘関節に石灰沈着を,CTでは右股関節包前方に接した低吸収領域を,超音波検査では右大腿動脈の外側に嚢胞状の腫瘤を認めた.腫瘤を穿刺して採取した黄色混濁で粘稠な内容液中に検鏡にて貪食されたピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶を認めたが,Gram染色では細菌は認められなかった.腸恥滑液包に生じた偽痛風発作と診断して入院加療とした.非ステロイド性抗炎症薬を投与し安静を保ったところ疼痛は速やかに軽減し,7日後には炎症所見も消失した.退院後外来にて加療を継続,その後一度鼠径部腫脹の増大がみられたが疼痛の再発はなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2004