臨床室
左下肢痛を主訴とする閉鎖孔ヘルニアの1例
早坂 豪
1
,
玄 奉学
,
佐久間 吉雄
,
河野 裕
,
小鹿 寧之
,
宮川 慶
1千葉中央メディカルセンター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
下肢
,
鑑別診断
,
X線CT
,
疼痛
,
閉鎖孔ヘルニア
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Hernia, Obturator
,
Pain
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Lower Extremity
pp.125-127
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015182334
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症例は67歳、女性で、1年前より誘引なく激しい左下肢痛が出現し、3回当院救急外来を受診したが、いずれも自然軽快していた。今回も同様の症状が出現したため当院受診となった。左鼠径部から下肢全体にかけて放散痛を認め、筋力の低下は認めなかった。X線所見で腰椎はL5分離すべり傷およびL3/L4、L4/L5椎間板高の狭小化を認めたが股関節正面像および側面像では異常所見を認めなかった。以上の所見より腰椎疾患による神経根症状を疑い、非ステロイド性抗炎症薬やペンタゾシンを投与したが、疼痛コントロール不能であった。CT軟部条件で左恥骨筋と外閉鎖筋の間に卵円型の腫瘤を認め、消化器外科にコンサルとしたところ、閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断された。手術所見は小腸の一部がヘルニア門より脱出し嵌頓し腸管壁には発赤を認めたが、明らかな腸管の壊死や穿孔は認めなかった。術直後より左下肢痛は完全に消滅し、術後は1週間で独歩退院となった。
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