発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004301351
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症例1:85歳女.主訴は腰痛,左鼠径部痛.腰椎X線正面像で小腸ガス像があることから,ただちに腹部CTを行った.左閉鎖孔ヘルニアを思わせるガス像があり,腰椎麻酔下に左鼡径部で開腹した.陥頓していた小腸を引き出すとRichter型の陥頓で血行障害を認めたが,ヘルニア整復後は色調は正常であった.術後経過は良好で,翌日より歩行可,排ガスがあり,術後9日で退院した.症例2:71歳女.主訴は腰痛,左大腿痛.腰椎単純X線像で腸閉塞像を認め,腹部CTで閉鎖孔ヘルニアを思わせるガス像を認めた.左鼠径部斜切開で開腹すると,直下に陥頓している小腸があり,引き出すとRichter型の陥頓で血行障害はあったが,ヘルニア整復後には色調はほぼ正常に戻った.術後左大腿前面の痛みと股関節内転筋の筋力低下をみたが,術後12日で歩行退院した.症例3:86歳女.主訴は腰痛.腹部CTとエコー所見から右下腹部の膿瘍が考えられ,後日の検査で盲腸癌の後腹膜腔への穿孔による膿瘍形成と判明し,全身麻酔下に右回盲部切除,吻合した.腸切除後11日目に退院したが,翌年に局所再発で右下腹部巨大腫瘍を形成し,手術せずに死亡した
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