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膝伸展筋力の低下を手軽に測定するために、膝蓋骨セッティング式筋力測定器(以下医療機器)の理論を応用して、患者が自宅で膝伸展筋の等尺性筋力を測定する方法を考案した。今回、家庭用体重計を用いて膝伸展筋力低下と変形成膝関節症患者の罹患年数、肥満度、変形の度合い、単純X線像の重症度および日常生活動作(ADL)の困難度との関連性を評価した。対象は231例(男性52例、女性179例、平均年齢66.1±96歳)、罹患年数は38±51年で、Kellgren-Lawrence分類の分布は、grade IIが130例(56.3%)、grade IIIが82例(35.5%)、gradeIVl9例(82%)であった。膝伸展筋力の測定法はトイレットペーパーなどのロール紙の芯にヘアースプレーなどの硬い円筒を挿入し、それを家庭用電子体重計の上に置き、患者に圧迫力を加えず、ロール紙の上に膝窩部をおかせて、大腿四頭筋非収縮時の下肢の重量を測定した。次いで、膝窩部でロール紙を押し付ける力を5秒間測定し、その期間の最大筋力を記録し、最大筋力から下肢の重量を引いた値をその患者の大腿四頭筋筋力とした。研究結果に準じて、各年代の対照群の膝伸展筋力の95%信頼区間下限値を境界として、それ以上の伸展筋力が計測された患者を正常群、その値未満の患者を低下群に分類した。その結果、当該する年代の対照群の膝伸展筋力の下限値を下回る低下群は126例、上回る正常群は105例であった。年代別に評価した低下群は正常群と比べて、罹患年数や肥満度、単純X線像の重症度や内反変形の度合いに有意差はなかった。Lequesne重症度指数は低下群において正常群と比べて有意に高値であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015