臨床室
硬膜外血腫との鑑別を要した硬膜管背側脱出型腰椎椎間板ヘルニアの1例
若間 仁司
1
,
中野 敦之
,
金 明博
,
馬場 一郎
,
四方田 光弘
,
黒川 義隆
1大阪医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
MRI
,
鑑別診断
,
椎間板ヘルニア
,
硬膜外血腫-脊髄
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Intervertebral Disc Displacement
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Hematoma, Epidural, Spinal
pp.429-432
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013211797
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62歳男。腰痛、両下肢脱力感を主訴とした。抗血小板薬内服中の患者で、腰痛、両下肢痛としびれ感に対して硬膜外ブロックを2回受けた後に症状が悪化し、受診時には坐位・立位保持とも困難で、両側下肢の深部腱反射低下と不全麻痺、頻尿と残尿感を認めた。腰椎MRIではL2/L3高位の脊柱管内に左背側から硬膜管を圧迫する腫瘤を認め、腫瘤はT1強調画像で等輝度、T2 強調画像で等~高輝度を示し、環状の造影効果は椎間孔にまで及ぶ紡錘状を呈した。服薬歴や治療歴から硬膜外血腫を疑ったが、抗血栓薬中止後も麻痺症状は改善せず、腫瘤摘出術を行ったところ、摘出標本は組織学的に軟骨終板を含んでおり、硬膜管背側脱出型腰椎椎間板ヘルニアと診断した。術後は症状が改善して独歩可能となり、術後1年経過現在ヘルニアの再発は認めていない。
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