発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288558
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44歳男。頸椎椎間板ヘルニアの診断で入院中、頸部を捻った際に頸部痛、左上肢の痛みおよび筋力低下が出現して当院紹介となった。単純X線でC4椎体下縁後方に骨棘形成を認め、MRI矢状断像ではC4/C5高位で硬膜は前方より圧排され、T2強調像でくも膜下腔の一部消失を認めた。強調冠状断像では同部でヘルニア塊が脊髄を圧排し、腫瘤内部に高輝度領域を認めた。頸椎椎間板ヘルニアの診断で手術施行し、前方進入で後縦靱帯を穿刺し硬膜を圧迫する大きなヘルニア塊の一部を摘出したところ脳脊髄液の漏出を認め、硬膜の一部が断裂していることが判明した。硬膜内にもヘルニア塊があり、これを摘出すると、くも膜は前方に膨隆し、脊髄の拍動を確認した。ヘルニア塊の全摘出により脳脊髄液の漏出を認めなくなったため硬膜の修復は行わず、腸骨より移植骨を採取して前方固定術を行った。術後より筋力低下は回復し、術後1週で正常となり、術後6ヵ月のMRIでは頸髄の十分な除圧を認め、日常生活や仕事に支障はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011