発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012175556
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70歳男。50年以上前に転倒で右手関節痛持続の既往があり、右手橈側のしびれを自覚した。右母指~環指橈側の感覚鈍麻と、短母指外転筋(APB)の筋力が徒手筋力テスト(MMT)で3と低下が認められた。電気生理学的検査では手関節以遠の遠位運動潜時(DML)が9.2msと遅延していた。手関節X線像で変形性関節症性変化を認め、側面像では月状骨が掌側に脱臼し変形していた。CTで月状骨は掌側に脱臼し変形しており、舟状骨は近位部が偽関節化して掌屈変形し、手根管は掌側に圧排されていた。陳旧性経舟状月状骨周囲脱臼に伴う手根管症候群と診断し、手術を施行した。まず横手根靱帯を切離し、手根管開放術を行った。次いで正中神経の尺側縁より深部を剥離したところ、脱臼した月状骨を露出でき、掌側に張り出した部分のみ切除した。術後1年経過し、手関節の不安定性や疼痛はなく、しびれ感は消失し、APB筋力はMMTで5、DMLは4.8msと回復した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012