発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005275579
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85歳男.20kg程度の荷物を持ったあとに左手関節に疼痛・腫脹が出現した.また,数ヵ月前から自覚していた左母指・示指・中指の痺れが急激に増強し受診した.左手関節のX線検査で橈骨遠位端掌側に骨性隆起を認めた.MRI検査で骨性隆起による手根管の圧排所見が認められた.正中神経伝導検査を行ったところ左手部は描出不可能であった.これらの所見から,Kienboeck病(K病)に合併した手根管症候群(CTS)と診断し,手術を施行した.正中神経を露出すると同神経は横手根靱帯から近位部で掌側に圧迫されていた.同神経を橈側へ避けると,橈骨から連続する骨性隆起が認められた.隆起は3×2cm大で,骨端部から関節近傍まで達していた.これを摘出し,病理組織学的に骨棘と診断した.術後1年の現在,痺れはほぼ消失している.K病にCTSを合併した機序として,K病による手根骨配列の乱れが橈骨手根関節の関節症変化を引き起こし,橈骨遠位端掌側に骨棘が生じCTSをまねいたことが推測された
©Nankodo Co., Ltd., 2005