発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010187309
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58歳男。既往に高血圧、慢性腎不全があった。腹痛、便秘、下痢、頻尿が出現し、腹部膨満、腫瘤を触知し、単純X線で左側腹部に骨化性病変を認めた。腹部CTでは左後腹膜腔から腹腔内を占拠する長径30cm大の巨大な腫瘤を認め、腫瘍内部に一部骨化および液面形成像を伴った嚢胞性変化を認めた。MRIでもCT所見と同様の腫瘤を認めた。後腹膜腫瘍の診断で血管塞栓術と腫瘍摘出術を施行し、手術所見は腎臓と連続した被膜を有する腫瘤が後腹膜腔から腹腔内まで広がっていた。腫瘤は腹部大動脈から総骨動脈まで広範囲に癒着しており、腫瘍は一部残存した。病理組織学的所見は病変は腎組織から移行する血液を含んだ多数の嚢胞変化を示し、その実質部分には異型細胞の増殖と腫瘍性類骨の形成を認め、組織学的に骨肉腫と診断した。全身検索で他部位に原発巣を疑う病変はなく、腎原発骨肉腫と診断した。術後は化学療法を開始し、術後12ヵ月の現在、残存腫瘍の増大や転移は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010