発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012360398
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48歳男。約20年前に右大腿部を打撲した。以後、同部の腫瘤が徐々に増大するのを自覚していたが、疼痛はなかったので放置していた。最近、膝屈曲時のつっぱり感が強くなったため近医受診したところ軟部肉腫を疑われ、当科に紹介された。右大腿近位外側に22×15cm大で可動性のない弾性硬の腫瘤を認め、圧痛や局所熱感はなかった。単純X線で病巣内に石灰化を伴う軟部腫瘤陰影を認めた。MRIでは、大腿骨に接する21×12×10cmの腫瘤を認め、外側広筋を圧排していた。腫瘤はT1強調像では低信号で、内部に一部高信号の領域が混在する像を呈した。T2強調像では多房性で、低~高信号の様々な輝度が混在していた。造影MRIでは腫瘤辺縁と内部の一部に造影効果を認め、腫瘍辺縁にはT2強調像で低信号の造影効果を認める被膜様構造がみられた。診断確定を目的に切開生検を行ったところ、病理組織所見は陳旧性血腫で、腫瘍細胞は認めなかったことから慢性増大性血腫と診断した。辺縁切除術を行い、術後3年6ヵ月の現在まで再発は認めていない。
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