発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178567
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65歳女。5年前に左大腿部前面にクルミ大の腫瘤が出現し、徐々に増大した。初診時、腫瘤は35×30cm、弾性硬、境界明瞭で、自発痛・圧痛はなかった。X線で大腿部前面に透過性の高い軟部腫瘤陰影を認め、CTでは筋間中隔前方の大部分を占め、筋肉は周囲に圧排され菲薄化していた。MRIで腫瘍はT1・T2強調像で高信号を示し、内部にはT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示す部分を認めた。生検切開術による病理組織診断は脂肪腫であったが、画像では悪性を思わせる所見もあり、菲薄化した筋肉に包まれた状態で腫瘍を一塊として切除した。摘出腫瘍は2950gで、病理組織学的に成熟した脂肪細胞が増生し、異型性や分裂像はなく、一部に壊死を認めたが悪性を示唆する所見はなかった。術後5年経過し、再発や膝伸展力の低下、関節可動域制限などはない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008