臨床室
遊離広背筋皮弁で再建したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染を伴う大腿後面軟部肉腫の1例
田中 達也
1
,
井上 啓太
,
赤澤 聡
,
中川 雅裕
,
保坂 聖一
,
片桐 浩久
,
高橋 満
1静岡県立静岡がんセンター 再建形成外科
キーワード:
MRI
,
大腿
,
X線CT
,
軟部組織腫瘍
,
ブドウ球菌感染症
,
瘻孔
,
筋皮弁
,
広背筋
,
組織球腫-悪性線維性
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
遊離皮弁
Keyword:
Fistula
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Staphylococcal Infections
,
Soft Tissue Neoplasms
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Thigh
,
Histiocytoma, Malignant Fibrous
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
,
Free Tissue Flaps
,
Myocutaneous Flap
,
Superficial Back Muscles
pp.35-38
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017306975
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71歳女性。左大腿後面の腫瘤が徐々に増大し、受診となった。切開生検により左大腿未分化多形肉腫(T2bN0M0、grade 3、stage III)と診断した。化学療法3コース施行したが、腫瘍は更に増大、自壊し、創部培養検査ではMRSAが検出された。CTでは低~等吸収域、MRIではT1強調像で等信号、T2強調像では多房性で低~高信号の輝度が混在していた。大腿骨と股関節はCT・MRIで共に異常所見は認められなかった。病理組織所見では多形異型大型細胞と異型紡錘形細胞の束状増殖がみられた。未分化多形肉腫(UPS)と診断され、腫瘍広範切除術および再建手術が施行された。術後、皮弁は完全生着したが、広背筋で被覆できなかった部位は瘻孔を形成し、植皮の生着も不良であった。培養検査でKlebsietlla pneumoniaeが検出され、感受性のあるセファレキシンの内服、創洗浄と軟膏処置の継続により瘻孔は閉鎖し、術後6週で完全上皮化した。病理組織像では断端腫瘍細胞は陰性であった。
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