発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012294305
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症例は50歳男性で、農機具に右手を挟まれ受傷した。示指と中指に切創・挫創、しびれがあり、X線で示指基節骨骨折を認め、手術を施行した。示指は橈側指神経が断裂しており、縫合した。指動脈は橈側で、深指屈筋腱(FDP)はzone 1、浅指屈筋腱(FDS)はzone 2で断裂し、A3・A4プーリーは損傷していた。中指は橈側指神経が中節部で、指動脈は橈側で、FDPはzone 1と2、FDSはzone 2で断裂し、A3プーリーが損傷していた。一期的な腱縫合・移植は断念して人工腱を挿入し、示指基節骨には観血的整復固定術、伸筋腱縫合を行った。示指の中手指節(MP)関節に伸展拘縮がみられ、初回手術後4ヵ月に抜釘し、伸筋腱剥離、MP関節の観血的関節授動術を、中指は足底筋腱を用いたlong graftを行った。初回手術後7ヵ月で示指に長掌筋腱を用いたlong graftを行い、前腕で中指の屈筋腱剥離を併施した。初回手術後13ヵ月でしびれは改善し、関節可動域制限はあるが日常生活に支障はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012