発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012294304
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症例は62歳男性で、3年前より胸部X線で右第2肋骨周囲の腫瘤陰影を指摘されていたが、腫瘤増大、鎖骨上部の圧痛を来たした。CTで右第2肋骨は膨隆し、皮質骨の菲薄化と一部途絶を認め、腫瘍内に石灰化はなかった。MRIでは右第2肋骨にT1・T2強調画像で筋肉よりもやや高信号を呈する骨腫瘍を認め、信号は均一で、出血や壊死を示唆する所見はなかった。骨シンチグラムでは右第2肋骨に異常集積を認めたが、他の部位に病的な集積はなかった。診断確定のためCTガイド下肋骨腫瘍生検を行い、病理組織像で形質細胞への分化を示す異型細胞のび漫性増殖が認められた。骨髄穿刺では異常細胞を認めず、右第2肋骨に発生した孤立性形質細胞腫と診断した。治療は病巣部に対する54Gyの放射線治療の後、サリドマイド、プレドニゾロン、ゾレドロネードによる化学療法を行った。生検後8ヵ月経過し、CTで骨病変の増大は認めず、異常値であった血清IgG値は正常化しMタンパクも消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012