発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008236071
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24歳男。暴漢に襲われ、相手の服を握っている時に左前腕遠位掌側を殴打されて直後より手指屈曲が不能となった。左示・中・環・小指近位・遠位指節間関節の自動屈曲が不能で、左手中手指節関節部と手関節掌側に圧痛と皮下出血を認めた。CTで手関節レベルの遠位で屈筋腱が消失しており、四指の深指屈筋(FDP)・浅指屈筋(FDS)腱断裂と診断した。手術所見で計8本の腱がA1プーリー部で完全に断裂しており、近位断端は手関節レベルに縮退していた。虫様筋は残存しており、すべて指背筋膜に付着していた。腱の断端は鋭となっており、端端縫合が可能であった。それぞれのFDP腱を4-0ナイロンにより吉津1法で主縫合し、6-0プロリンで周囲連続縫合を加えた。FDS腱に対しては多数指であることと、術後癒着の可能性を考えて放置した。術後8ヵ月で握力は右44kg、左16kg、DASHスコアは27/100点、特定指浅深指屈筋腱総合機能度は示指94%、中指91%、環指96%、小指96%であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008