臨床室
生物学的製剤使用下に人工膝関節の遅発性感染を起こした関節リウマチの2例
松村 崇史
1
,
北村 公一
,
小堺 豊
,
奴賀 賢
,
佐藤 攻
,
小川 考了
1函館五稜郭病院 整形外科
キーワード:
Auranofin
,
Methotrexate
,
Steroids
,
X線診断
,
関節リウマチ
,
抗炎症剤
,
生物学的製剤
,
放射性核種イメージング
,
補綴関連感染症
,
膝関節置換術
,
Bucillamine
,
Etanercept
,
Infliximab
Keyword:
Etanercept
,
Infliximab
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Anti-Inflammatory Agents
,
Auranofin
,
Biological Products
,
Methotrexate
,
Radiography
,
Radionuclide Imaging
,
Steroids
,
Prosthesis-Related Infections
,
Arthroplasty, Replacement, Knee
,
Bucillamine
pp.237-240
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014317167
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症例1は78歳女性で、30年前に関節リウマチ(RA)を発症し、オーラノフィン、ブシラミン、メトトレキサートの投薬を受けていた。右人工膝関節全置換術(TKA)を行い、TKA後1年でインフリキシマブ投与を開始し、以降はエタネルセプトによる治療を受けていた。左膝は腫脹・発赤・熱感があり、穿刺液は膿性であった。3相骨シンチグラムでは早期相で大腿骨、後期相で大腿骨、脛骨ともに取り込みを認め、人工膝関節遅発性感染と診断し、人工膝関節を抜去しセメントスペーサーを留置した。3ヵ月後に感染徴候がないことを確認し、左人工膝関節再置換術を施行した。術後3ヵ月でRAの再燃のためエタネルセプト投与を再開したが、術後18ヵ月時点で感染徴候はみられなかった。症例2は82歳女性で、50年前にRAを発症し、ステロイド、ペニシラミンの投薬を受けていたが、両膝痛増悪のため、9年前に当科紹介受診となり、左TKAと右TKAを行い、術後7年でエタネルセプト投与が開始された。エタネルセプト投与開始から7ヵ月後に腫脹・発赤・熱感を認め、穿刺液は膿性で、血液検査でCRP、WBCが著明に上昇していたため、人工遅発性感染と診断した。切開、洗浄後は抗菌薬服用として、術後2ヵ月でエタネルセプト投与が再開され、術後3ヵ月で抗菌薬服用を終了したが、4日後に左膝の腫脹・疼痛が再燃したため、左人工膝関節抜去となった。3ヵ月後に感染徴候がないことを確認し、左人工膝関節再置換術を施行したところ、術後9ヵ月時点で感染徴候なく経過は良好であった。
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