発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
70歳男。右前胸壁の有痛性腫瘤を主訴とした。腫瘍マーカーはCEAが高値で、X線、CT、MRIで右胸壁に第4肋骨の破壊を伴う約7cm大の腫瘍を認め、穿刺細胞診で良悪性の鑑別は困難であったが、右第4肋骨原発の悪性腫瘍疑いで手術を行った。第5肋間開胸でアプローチし、第4肋骨に腫瘍を認め、肺や皮膚への浸潤はなく、第3~5肋骨と共に腫瘍を切除した。また、前鋸筋と小胸筋の一部に浸潤を認めたため、これらを一部合併切除した。胸壁欠損部はポリプロピレンメッシュ2層で再建した。病理組織学的所見で腫瘍はHE染色で濃染核と少量の胞体を伴う異型細胞の増殖がみられ、浸潤細胞の多くはIgGλ陽性、CD20、IgM、IgA、IgGκ、CD5は陰性であり、IgGλタイプの形質細胞腫と診断された。術後約5ヵ月に右前胸壁に大豆大の断端再発を認め、放射線治療を行い部分寛解となり、更に術後約1年に胸骨下部に再発したが、化学療法を行い部分寛解となった。術後約3年の現在、無再発で生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010