発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012290301
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81歳男。釣りでクロダイのヒレが左示指に刺さり、翌日、左手全体の痛み、腫脹、食欲不振が出現したため来院となった。血液・生化学所見は好中球の増加、Hb、Pltの低下、炎症反応を認め、過換気による呼吸性アルカローシスを認めた。超音波検査では、軟部組織の腫脹と高輝度に映る異物を認めた。化膿性屈筋腱腱鞘炎と診断し、緊急切開を行った。皮下脂肪層に2mm大の黒色のヒレを認め、ヒレを切除し、皮下脂肪組織を可及的に切除した。術後、切除したヒレの培養を行い、Vibrio vulnificusが検出されたため、塩酸セフォチアム・塩酸ミノマイシンからセフタジジムに変更した。徐々に発赤、腫脹、血液・生化学所見は改善傾向を認めたが、術後7日目頃から呼吸苦と喘鳴が出現した。X線で左肺野の陰影を認めたため、抗生物質をメロペネムに変更した。しかし、呼吸苦は改善せず、肺気腫の急性増悪と診断し、プレドニゾロンの点滴とステロイド吸入を開始した。呼吸苦は改善し、36日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012