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腰椎椎間板ヘルニアに後縦靱帯骨化症(OPLL)を伴った2症例を報告した。症例1は35歳(BMI 41.5)男性で、右足外側の痺れ感・知覚過敏、右臀部~大腿後面の痛み、腰痛を主訴とした。症例2は37歳(BMI 28.3)男性で、左臀部~下肢後面の痛み、左下腿後面の痺れ感を主訴とした。両例とも単純X線では腸骨と重なって骨化は明らかでなかった。症例1ではMRIにて椎間板部の膨隆を認め、ミエロCTにてL3/L4、L4/L5、L5/S1での骨化巣、L5/S1での硬膜管の圧排、右S1神経根嚢像の欠損を認め、OPLLと診断した。また、全脊柱CTにてC6/C7、Th10/Th11に前縦靱帯骨化症とTh12/L1にOPLLを認め、3-DCT上L5/S1椎間に隆起したOPLLを認めた。L5/S1のヘルニアとOPLLによるS1右神経根症状と診断し、ヘルニアの摘出、OPLLの切除、神経根の除圧を行った。神経根とOPLLの間に強い癒着は認めなかった。術後9ヵ月が経過し、術前の症状は消失した。症例2では、当初椎間板ヘルニアと診断し保存的治療を行ったが下肢痛が強くなり、CTにてL5/S1にOPLLを認めた。MRI上L5/S1にて低輝度と高輝度が混在する椎間板の膨隆を認め、全脊柱CT上C2/C3、C3/C4、C4/C5、Th1/Th2にOPLLを認めた。また、3-DCT上L5/S1椎間に隆起したOPLLを認めた。以上より、L5/S1のヘルニアとOPLLによる左S1神経根症状と診断し、ヘルニアの摘出、OPLLの切除を行った。術中、S1神経根とOPLLの間に強い癒着を認めなかった。術後5ヵ月が経過し、左下腿の痺れ感は軽度残存しているが、左下肢痛は消失した。
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