発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186420
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ヘッド径(H)、ネック径(N)、カップライナーのインプラントインピンジメントを起こす部位を基準とする表面円からの関節回転中心の距離(C)の3因子が、人工股関節自体の可動域(Osc.A)にどのように影響しているのか検討した。表面円がchamferのない平坦なカップで、ネックの断面が円形の人工股関節とし、3因子により数式を作成し、回転中心がインピンジメントの位置の表面円より内側と外側の場合で125通りの組み合わせにおけるOsc.Aの大きさを求めた。Osc.Aを従属変数、H・N・Cを独立変数として重回帰直線式を認め、各因子のOsc.Aへの影響度を検討した。重回帰直線式は予測Osc.A=133.47+1.72×H+4.50×N+8.12×Cとなり、その相関係数は0.98と良い相関を示した。この式から各因子のOsc.Aへの影響度の比率をみると、CがHの4.7倍、Nの1.8倍の影響力をもち、Cが最も影響力が大きいことが示された。つまり、Hを1mm太くした場合、Osc.Aを同じだけ大きくするには、Nを0.38mm細くし、回転中心を0.21mm外側へ移動させることで可能となると考えられた。また、ヘッドを28、32、36mmと4mmずつ大きくした場合のOsc.Aの増加と同等のOsc.Aをヘッド28mmのままで獲得するには、ネックでは1.4、2.4mm細くすることで、カップ中心位置では0.7、1.3mm外に出すことで可能と考えられた。
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