発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186419
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73歳男。右下腿外側痛が出現し、L4/L5腰椎椎間板ヘルニアの診断で神経根ブロック、ヘルニア摘出術を受けたものの症状改善せず、足関節内側にも疼痛および痺れが出現したため当科入院となった。右下腿外側より足関節内側部にかけてVASで10/10の灼熱痛があり、患者は「肉を削がれるような痛み」と表現し、同部位には異痛症、痛覚過敏が存在した。また、足関節は浮腫状で、発赤・熱感を認めた。X線・MRI・ミエログラム・骨シンチグラム所見と臨床所見を併せ、L4/5椎間の圧迫残存による右L5神経根症状に加え、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の合併を疑い手術を施行した。手術所見で右L4椎弓は骨癒合が得られておらず、L5神経根と後根神経節は椎弓根内側でヘルニアと瘢痕組織により高度に圧迫され癒着しており、右L4/L5部分椎弓切除術、L4/L5腰椎椎間板ヘルニア摘出術、L5根癒着剥離術を施行した。術直後より下肢痛は改善したが、疼痛は残存し、足関節の発赤・熱感なども回復せず、除圧は良好であることからCRPSと診断した。抗うつ薬内服と仙骨裂孔硬膜外ブロックを施行したところ、徐々に症状は改善して消失し、下肢痛はVAS1/10まで改善して独歩自立の状態である。
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