発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186421
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52歳男。2ヵ月前より背部痛が出現し、徐々に体幹・四肢のしびれも自覚するようになった。頸椎MRIにて頸髄髄内嚢胞と診断し、腹臥位でRelton-Hall frameを使用して頸髄嚢胞壁切除術を行った。術後症状は軽快したが、術前にはなかった右大腿前面の強い疼痛としびれ感を認めた。右大腿前面の異常知覚と右上前腸骨棘内側縁にTinel徴候を認めることから、Relton-Hall frameの圧迫による右外側大腿皮神経障害と診断し、約3ヵ月間の保存的治療で改善しないため神経剥離術を行った。鼡径靱帯を切離すると、外側大腿皮神経は上前腸骨棘内側縁に走行し、鼡径靱帯直下での神経自体の発赤、その中枢側で偽神経腫の形成がみられた。術直後よりTinel徴候は消失し、大腿前面痛も徐々に改善して術後5ヵ月にVASは術前と同等まで改善し、知覚障害の範囲も縮小した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011