発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186406
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化膿性脊椎炎(PSI)の診断で入院治療を行い、感染の沈静化を確認した51例について検討した。発症から診断までは平均15.8日で、何らかの基礎疾患を39例に認め、消化器疾患や糖尿病が多かった。全例に非構築性疼痛を認めた。罹患高位は腰椎が最も多く、Kulowski分類では亜急性型が多かった。起炎菌は33例で同定され(同定率64.7%)、ブドウ球菌が最も多かった。MRIによる進展様式分類では、椎間板炎型27例、椎体炎型9例、硬膜外膿瘍・傍脊柱筋膿瘍型6例、椎間関節炎型3例、分類不能6例であった。随伴病変は腸腰筋膿瘍22例、二次性硬膜外膿瘍15例、神経障害9例であった。血液学的所見では、抗菌薬投与開始後2週におけるCRPの改善率を算出したところ平均60%であった。外科的治療を要したのは9例で、抗菌薬治療開始から手術までは平均56.8日、術式(複数回あり)は経皮的椎間板掻爬術、前方固定術などであった。当科初診からCRP陰性化までは平均101日、在院日数は平均103日で長期間を要した。Kulowski分類の亜急性型と潜行型は、急性型と比較して診断までの日数が有意に長く、CRP陰性化でも長い治療期間を要した。MRSA脊椎炎群では、その他の常在菌群と比較して在院日数が有意に長かった。CRP 2週改善率による比較では、改善率50%以下群は50%以上群と比較して手術的治療を要した症例が多く、在院日数も長期間であった。進展式様式での比較では、椎間板炎型は椎体炎型や傍脊柱型に比較してCRP 2週改善率が有意に不良であった。
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