発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011143741
- 有料閲覧
- 文献概要
68歳男。10年程前より左前胸部に腫瘤があり、1年前より増大して疼痛を伴うようになった。初診時、左胸鎖関節部に5×6cmの弾性軟、境界明瞭な腫瘍を触知した。MRIでは鎖骨に接し皮下に存在する腫瘍を認め、内部はT1強調像で低信号と高信号の混在、T2強調像で不均一な高信号を呈した。T1、T2強調像ともに高信号の部分は脂肪抑制像で抑制され、脂肪成分と考えられた。針生検で低悪性度の紡錘形細胞肉腫と診断され、1cm inadequate wide marginの広範切除を行った。病理組織学的所見は異型性の乏しい紡錘形細胞、上皮細胞、成熟脂肪細胞の混在を認めた。免疫組織染色所見は紡錘形細胞、上皮細胞ともにAE1/AE3は陽性、CAM5.2は上皮細胞のみ陽性であった。ビメンチン、SMA、CD34は陽性、S100、EMA、p53は陰性であった。MIB-1 labeling indexは0.8%であった。以上より総合的に異所性過誤腫性胸腺腫と診断した。術後14ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011