発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011103824
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症例1:72歳男。5年前より左手掌腫脹があり、1年前より左示指のしびれが出現して徐々に増悪した。単純X線で母指球~中指部に6×5cmの透亮像を認め、MRIではT1・T2強調像とも皮下脂肪と同様の信号強度を呈し、脂肪抑制像で抑制された。脂肪腫の診断で手術を施行した。腫瘍は皮膚の直下から手掌腱膜下まで存在し、黄色で被膜を有し、境界明瞭であった。示指・中指の指神経は腫瘍直上にあり圧排されており、神経を剥離して腫瘍を摘出した。病理所見は成熟した脂肪細胞が主体の線維性被膜を有する脂肪腫で、悪性所見はなかった。術後症状は改善し、再発はない。症例2:55歳女。左示指の知覚障害を認め、手術を施行した。腫瘍は皮膚の直下から手掌腱膜下まで存在し、黄色で皮膜を有し、境界明瞭であった。腫瘍直上に示指尺側と中指橈側の指神経の分岐部があり圧排されており、神経を剥離して腫瘍を摘出した。腫瘍は7×5×3cmの黄色分葉状で、病理学的には成熟した脂肪細胞が主体の脂肪腫であり、悪性所見はなかった。術後25年経過して再発はない。
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